【シリーズ第1回】中1生徒がGoogle Antigravityで「国東観光AIアバター」を作ってみた|プロジェクト始動編
こんにちは!現役IT講師のきっちゃん先生です。
今回から新しい連載がスタートします。テーマは「中学1年生の生徒が、Google Antigravity(無料AIエージェント)を使って国東観光AIアバターを作る」というプロジェクトです。
中学1年生にとってAIエージェントを使った本格的なWebアプリ開発はかなりチャレンジング。月にたった2時間しか作業時間が取れない中で、AIをどう活用すれば「自分の作品」が形になるのか?――この連載では、そのリアルな試行錯誤の記録を公開していきます。
このシリーズで作るもの
国東観光AIアバター
大分県の国東半島(くにさきはんとう)を題材にした、観光案内AIアバターを開発します。
- VRoid Studioで作ったオリジナルキャラクターが画面に登場
- ユーザーが「おすすめ観光スポットを教えて」と話しかけると
- Gemini APIに接続したAIアバターが、国東の魅力を案内してくれる
そんな「自分だけの観光案内AI」を、中1生徒が主体となって作っていきます。
プロジェクトメンバー
| 役割 | 担当 |
|---|---|
| プロジェクトオーナー(上流工程) | 中学1年生(HTML・CSS・JavaScript学習中) |
| メンター | きっちゃん先生(現役IT講師) |
| AIエージェント | Google Antigravity(コーディング・テスト担当) |
| リサーチ・素材生成AI | Gemini、Google検索 |
なぜGoogle Antigravityを選んだのか?
1. 無料で本格的なAIエージェントが使える
Google Antigravityは、Googleが提供する無料のAIエージェント開発環境。コーディングからテスト、デプロイまでAIが伴走してくれます。中学生がチャレンジするにはハードルが低く、最適でした。
2. 月2時間でも開発が進む
部活や塾で忙しい中学生。月にたった2時間でも、AIがコーディングを引き受けてくれるなら、本人は「何を作るか」「どう見せるか」という上流工程に集中できます。
3. 自分のアイデアがかたちになる成功体験
「やりたい」を「できた」に変えるのが、プログラミング教育の最大の効果。AIエージェントはその伴走者として、最高のパートナーになります。
💡 Google Antigravityについては別記事で詳しく解説しています 【教育×AI】AIエージェントとペアプログラミング?IT講師(専門外)でも「AIアバターとお話しできるアプリ」が個人開発できた話
役割分担:人とAI、どこを誰が担当する?
このプロジェクトの最大のポイントは、「人」と「AI」の役割を明確に分けたこと。
中学1年生(人)が担当する「上流工程」
人にしかできない、創造性・判断・センスが求められる部分。
- 思考整理:何を作りたいか?誰に使ってほしいか?
- リサーチ:国東のおすすめスポット、ターゲット層の調査
- UI/UXのレイアウト設計:どんな画面にしたいか
- VRoid Studioでアバター作成:オリジナルキャラづくり
- キャラ設定とプロンプト調整:アバターの性格や話し方
- Gemini APIの管理と接続確認:APIキー管理・動作チェック
AIエージェント(Google Antigravity)が担当する「下流工程」
繰り返し作業・専門知識が必要な部分はAIに任せる。
- コーディング:HTML・CSS・JavaScriptの実装
- テスト:動作確認・バグ修正
- 環境構築:開発環境のセットアップ
Gemini・Google検索(AI)が担当する「リサーチ・素材」
- 国東の観光スポット調査
- おすすめ画像の収集
- キャラクター設定のブラッシュアップ
📝 ポイント 「全部AIに任せる」のではなく、「自分で決めるべきところ」と「AIに任せるところ」を分ける。これがAI時代のクリエイター教育の核心だと感じます。
補足:Gemini APIについて(保護者・先生向け)
そもそもAPIって何?
API(Application Programming Interface)は、ざっくり言うと「他のサービスの機能を、自分のアプリから呼び出すための窓口」のこと。今回は、Geminiの会話AIをWebアプリから呼び出すためにGemini APIを利用しています。
たとえると、レストランの「注文窓口」のようなもの。お客さん(自分のアプリ)が「ハンバーグください」とお願いすると、厨房(Gemini)が料理(回答)を作って返してくれる――そんなイメージです。
今回Gemini APIを採用した理由
- 無料枠が大きい — 学習用・小規模プロジェクトなら無料枠で十分カバーできる
- Gemini Liveが多言語対応 — 国東の観光案内を多言語で展開する将来構想にもマッチ
- ローカル環境で管理・動作確認ができる — 開発中のテストがしやすく、APIキーを安全に扱える
⚠️ APIキーの発行・管理は必ず「大人」が行う
これは非常に大切な注意点です。
APIキーは、いわば「お金や個人情報につながる鍵」。中学生本人ではなく、先生または保護者がAPIキーの発行・管理を担当する必要があります。
具体的に守るべきポイント:
- 公開リポジトリ(GitHubなど)にAPIキーを絶対に載せない
- 環境変数や.envファイルで管理する
- Google Cloudの管理画面で使用量・課金状況を定期的に確認する
- 不要になったら必ず削除・再発行する
今回のプロジェクトでも、APIキーの発行・管理はきっちゃん先生がローカル環境で行い、生徒は「APIを使うとどうなるか」を体験することに集中できる体制にしました。
💡 「インフラは大人、創作は子供」 子供に全部やらせるのではなく、大人がインフラ部分(APIキー・ネット環境・開発環境の管理)を担保することで、子供が安心して創作に集中できる環境を作る。これがAI時代の教育の新しい形だと感じます。
第1回でやったこと
ステップ1:プロジェクトの全体像をGeminiと整理
「国東観光のAIアバターを作りたい」というアイデアから、Geminiと対話しながら次の要素を整理しました。
- ターゲット:国東に興味がある人・観光予定者
- 機能:AIアバターによる観光スポット案内
- 必要なもの:アバター、UI、観光データ、AI接続
- 月2時間という制約での工程分け
ステップ2:Google検索+Geminiで国東の魅力をリサーチ
国東半島の特徴・名所をリサーチ:
- 国東半島の六郷満山文化(神仏習合の歴史)
- 富貴寺、両子寺などの寺院
- 国東の自然と海岸線
- 名物料理・お土産
→ アバターが案内する観光スポット候補を厳選しました。
ステップ3:VRoid Studioでアバター作成
無料の3DキャラメイクツールVRoid Studioで、オリジナルキャラクターを作成。
- 髪型・顔・服装をカスタマイズ
- VRM形式で書き出し(Webブラウザで表示可能な3Dフォーマット)
- 国東の雰囲気に合うキャラクターに仕上げ

完成したのが、こちらのキャラクター。名前は「おに丸(おにまる)」です。国東半島には鬼にまつわる伝統行事(修正鬼会など)があり、その世界観をモチーフにした観光案内キャラクターに仕上がりました。

ステップ4:UI/UXとAPI接続の構想
- 画面レイアウトのラフ案を作成
- Gemini APIの取得・接続テスト
- アバターの性格・話し方をプロンプトでブラッシュアップ
第1回でわかった「中学生×AIエージェント開発」のリアル
良かったこと
- 「自分で考える時間」が増えた コードを書く時間が減った分、「何を作るか」を考える時間に集中できました。
- 「失敗しても怖くない」 AIが何度でも修正してくれるので、「とりあえずやってみる」マインドが育ちました。
- 大人レベルの作品が手の届く範囲に 「中学生だから無理」を、AIが取り払ってくれました。「最新AIを無料で使えて、返答もリアルタイム!」というすごさを、生徒自身が体験できました。
課題に感じたこと
- AIの提案を「鵜呑みにしない判断力」が必要 「これでいい?」と聞いてくる場面で、自分の意図を伝える練習が大切でした。
- 用語の壁 「API」「VRM」「フロントエンド」など、最初は知らない言葉が連発。1つずつ先生やGeminiに聞きながら進めました。「国東」を「くにとう」と読み間違えるあるあるも発生(正しくは「くにさき」)――地名・専門用語のハードルは、AI時代でも変わらず存在しますね。
- 月2時間の制約は思った以上に厳しい AIがいても、本人の意思決定がボトルネックになることもしばしば。そこで今回は、先生が事前に「次回やることリスト」を整理しておき、当日は生徒が判断・実行に集中できる体制にしました。限られた時間を最大化するためのタスク粒度設計が、AI時代の指導者の大事な役割になりそうです。
- 「実物に触れた経験」がないと、そもそも発想できない 今回、生徒が「AIアバター × 観光案内」というアイデアを企画段階で出せたのは、先生(きっちゃん先生)が英語学習用にAIアバターを作っているのを実際に見て、触れていたからでした。「こんなことができるんだ!」という体験がないと、AIエージェントを目の前にしても何を作ればいいか思いつきません。身近な大人や人気な作品に触れる機会が、AI時代の創造力の源泉になると思いました。
次回予告:第2回は「画像素材の整理 × UI/UXレイアウト設計」
次回は、いよいよ画像素材の整理とUI/UXレイアウトの設計に入ります。
- リサーチで集めた観光スポットの画像をどう管理するか?
- VRoidアバターを画面のどこに配置するか?
- スマホでも見やすいレスポンシブ設計はどう実現するか?
中学1年生がAIと一緒に「画面づくり」に取り組むリアルな様子を、引き続きレポートしていきます!
🎬 ちょっとだけ未来をお見せします
ネタバレ気味ですが、現在は「おに丸」がこんなふうに会話してくれます。まだ完成はしていないので、シリーズの最終回までぜひお楽しみに!フォローもよろしくお願いします。
まとめ:AIで「中学生のクリエイティブ」が解放される
「月2時間しか時間が取れない中学生でも、AIと組めば本格的なWebアプリが作れる」――これがこのプロジェクトの大きな実感です。
特にGoogle AntigravityやGemini APIは無料で使えるので、家庭や学校でも今すぐ始められる環境が整っています。
「うちの子もプログラミングをやらせたいけど時間がない」「専門知識がなくてサポートできない」――そんな保護者の方こそ、このシリーズを参考にしてみてください。
次回もお楽しみに!


